- 実施事例
- パラスポーツを支えるあなたへ デフ卓球・灘光晋太郎選手が語る現場のリアル
講演会事例 パラスポーツを支えるあなたへ デフ卓球・灘光晋太郎選手が語る現場のリアル
- 主催者
- 東京都、公益社団法人東京都障害者スポーツ協会
- 講師
- 灘光晋太郎(デフ卓球) 太平電業アスリートクラブ

- 開催日
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- 2025.06.18(水)
- 場所
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- 全国障害者総合福祉センター 戸山サンライズ
- 対象
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- 区市町村職員・公立スポーツ施設職員等
- 参加人数
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- 52名
東京2025デフリンピック出場も決定! デフ卓球・灘光晋太郎選手
※東京2025デフリンピックは、2025年11月15日から26日まで東京で開催された、きこえない・きこえにくいアスリートのためのオリンピック
パラスポーツ振興のキーパーソンとなる区市町村職員・公立スポーツ施設職員等を対象に開催された『パラスポーツセミナー』内で行われた、灘光晋太郎さん(デフ卓球選手)の講演会。その場で語られたのは、ご自身の体験と、デフスポーツや聴覚障害に関わるリアルな課題、そして社会全体に向けた前向きなメッセージでした。
デフ卓球界で国際的な活躍を続けている灘光選手は1993年生まれ。2022年にカシアス・ド・スルで開催された『第24回夏季デフリンピック競技大会』卓球・男子団体での銅メダル獲得をはじめ、2023年『第4回世界ろう者卓球選手権大会』でも男子団体で銅メダル獲得、男子シングルスではベスト8と、着実にその実績を重ねてきました。さらに、国内でも『全国ろうあ者卓球選手権大会』で2度の優勝。そして『東京2025デフリンピック』では卓球・男子団体で銅メダルを獲得しました。トップアスリートとして今後の活躍がさらに期待されています。
そんな灘光選手が抱える聴覚障害は、先天性の感音性難聴で、「補聴器を外すと、家の中で動いている洗濯機の音が聞こえない程度」とのこと。聴覚障害といっても、全く聞こえない場合や聞こえにくい場合など、聞こえ方に個人差があることを知ってほしいと呼びかけました。
人生をかけた『東京2025デフリンピック』への想い
今日の講演では、支援する側・される側といった立場にとらわれず、双方がどうあるべきかというテーマに踏み込めて良かったです。最初はうまく伝わるか心配でしたが、好意的な感想をいただき、やりがいを感じました。
2025年の東京デフリンピック開催は日本で一番多くの人が集まる東京だからこそ、多くの人にデフリンピックを知ってもらえるチャンスだと思っています。デフリンピックの認知度も、最近ではかなり上がってきているので、街全体が盛り上がっているのを実感しています。
デフ卓球の見どころは、音が聞こえない分、視覚に集中してボールを捉えるため、激しいラリーが続く場面が多いのも特徴です。良いラリーが展開するのを期待して、ぜひ見てもらいたいです。
最後に、応援の仕方についても伺うと、「大きな横断幕など、目で見てすぐにわかる応援はとても力になります。また、手話を使った“サインエール”という新しい応援方法もあるので、ぜひ注目してください。
※インタビューは東京2025デフリンピック開催前に行いました。
参加者コメント
アンケート結果において「大変満足」「満足」と回答した参加者が約95%を占め、特に「当事者の実体験に基づく話が行政実務の参考になった」「情報保障や手話の重要性を改めて認識した」といった声が多く寄せられました。
アンケートより抜粋
・手話が1つの言語であること。私たち自身も理解して歩み寄ることも必要だと感じました。
・情報保障の内容や助ける側・助けられる側、どちらのマインドも大切であるという話しが印象に残りました。
・これまではパラスポーツに関して、健常者同士の競技でしか実施したことがなく、あくまでも想像の範囲内での話しかできなかったですが、障害のある方からの生の意見を聞くことができたことがよかったです。
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行政職員・スポーツ施設職員に知ってもらいたい、目で見て分かる情報の大切さ
講演では、灘光選手が自身の経験をもとに、聴覚障害者が社会で直面する「情報の壁」について語りました。特に強調したのは、“目で見て分かる情報”の大切さです。「健常者は無意識のうちに主に目と耳で情報を集約して理解に至りますが、聴覚障害者にとっては視覚に頼る局面が大半です。」と述べ、掲示板やモニター、ホワイトボードなどを活用した視覚的な情報保障の工夫が重要であると具体的な事例を交えて説明しました。
さらに、手話の普及や多様なメディアを活用した情報発信の重要性についても言及し、「手話が第一言語で思考のベースになっており、文章よりも手話のほうが伝わりやすいろう者も多い」という灘光選手の実体験に基づく、気づきにくい点についても説明しました。
また、デフスポーツは障害の有無にかかわらず双方が“歩み寄る”ことで成り立ち、支援する側だけでなく、受ける側にも社会へ貢献する意識や発信力が求められると語りました。
灘光選手は「支援は一方通行ではなく、互いに理解し合い行動することが大切」と繰り返し伝え、参加者も熱心に耳を傾けていました。