講演会事例 世界のデフサッカー大会で金・銀メダル獲得! 仲井健人選手による道徳授業地区公開講座

主催者
新宿区立新宿西戸山中学校
講師
仲井健人選手(デフサッカー・デフフットサル)
仲井健人選手が手話の「I love you」を生徒たちにレクチャーしている
開催日
  • 2025.07.15(火)
場所
  • 新宿区立新宿西戸山中学校 アリーナ
対象
  • 新宿区立新宿西戸山中学校 全校生徒、保護者
参加人数
  • 生徒約440名、保護者5名

新宿西戸山中学校の全校生徒が参加

新宿区立新宿西戸山中学校で、全校生徒と保護者を対象にした道徳授業地区公開講座が開催されました。講師に招かれたのは、令和5年『第4回ろう者サッカー世界選手権大会』で銀メダル、令和6年『第10回アジア太平洋ろう者競技大会』で金メダルを獲得するなど、国内外で活躍しているデフサッカー・デフフットサルの仲井健人選手です。同校では、学年や学級ごとに事前学習を実施し、この講演会を迎えました。



仲井健人選手のプロフィールがステージに映し出されている




デフリンピックとデフサッカーについて楽しみながら学ぶ講演会

「東京2025デフリンピックには、どんな競技があるかな?」「世界中から何人の選手団が日本にやってくると思う?」。壇上から降り立った仲井選手は、右へ左へと移動しながら生徒たちとコミュニケーションを取りつつ講演会が進められ、生徒たちの元気な声や笑顔があふれました。

手話のレクチャーもあり、日本の手話と国際手話の違いを実演しながら教えてもらう場面も。特に「Thank You」の手話が投げキッスのような動きで表現されると、会場は大いに盛り上がりました。

また、障害のある人がプレーできるサッカーは、聴覚障害以外にも視覚障害、手や足の切断による障害、知的障害など全部で7種類あることが説明され、「何かをするのが難しくても、工夫次第で楽しむことができるんです」と、前向きなメッセージも伝えられました。

最後に、生徒から「練習や試合で心掛けていることは何ですか?」と質問されると、仲井選手は「試合は緊張するけど、緊張を受け入れつつ平常心を保つようにしています」と回答し、生徒たちにも「受験など緊張する場面に直面したら、自分を信じて頑張って欲しい」とエールを送りました。



仲井健人選手がマイクを持って話している




仲井健人選手が生徒たちにデフスポーツについて話している




デフサッカー仲井健人選手インタビュー「世界一に向けて、チームのためにできること」

講演会中の生徒たちの反応はすごく良かったです。講演会に先立ち、学校では事前学習を実施してくださり、その授業の様子も見学させていただいたのですが、多様性をテーマに物事を深く掘り下げていて、生徒たちのレベルの高さを強く感じました。そのおかげもあって、およそ40分間という短い講演会ではありましたが、非常に有意義な時間でした。

サッカーの一番の魅力は、「ボールひとつでみんなが楽しめる」ことだと僕は考えています。国籍や年齢、障害などのさまざまなバックグラウンドを越えて、みんなで一緒に楽しめる、本当に素晴らしいスポーツです。

デフスポーツ・パラスポーツを取り巻く環境は、東京2020大会をきっかけに大きく変わってきたと感じています。企業からの支援も高まり、競技にかけられる時間が増えました。そのおかげで、海外に挑戦する選手も増えています。また、障害のある子どもたちも参加しやすい環境が整ってきています。

デフサッカーに関して言えば、かつては耳がきこえない・きこえにくい人だけでチームを作ってサッカーをすることが多かったのですが、最近では健常者と一緒にプレーする選手も増えてきています。その環境で揉まれることで、個々のレベルも大きく上がっている傾向があります。

デフサッカーの大きな特徴は、声によるコミュニケーションができないという点です。試合中のコミュニケーションはとても難しいですが、だからこそ、日頃からピッチの中でも外でも、仲間とイメージを共有し、積み重ねていくことが大切になります。その連携が試合の中でうまく発揮できたときは大きな喜びを感じます。

東京2025デフリンピックの代表メンバーに選ばれたことは、僕にとってゴールではなく、スタート地点だと思っています。ポジション争いはとても激しいですし、試合に出られる保証はありません。その中で本番までにできることをしっかりと積み重ねて、自分のレベルを上げていきたいです。たとえ試合に出られなくても、チームのために自分ができることを精一杯やり、日本が世界一になれるよう、個人としても、チームとしても全力で取り組んでいきます。

現地での応援はもちろん、SNSでの声援も大きな力になります。どこにいても応援していただけたら嬉しいです。



仲井健人選手がサッカーボールを脇に抱えて微笑んでいる




依頼者コメント

デフリンピック東京大会開催年度ということもあり、デフアスリートをお招きしての講演会を実施いたしました。相互理解、共生社会をテーマとして当事者である方からお話を伺い、障害についての理解を深め、今後の生き方について考えるきっかけとなりました。

  • 戻る

トップに戻る