講演会/体験会事例 「聴覚障がい」と「デフスポーツ」を学ぼう!~デフ卓球にチャレンジ!~

主催者
公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団
講師
灘光晋太郎選手(デフ卓球)
参加者と交流する灘光選手
開催日
  • 2024.10.26(土)
場所
  • SUBARU総合スポーツセンター
対象
  • 三鷹市在住・在学・在勤で、スポーツボランティアに興味がある方
参加人数
  • 26日(土)/20名 27日(日)/10名

聴覚障がいはさまざま。その人に合ったコミュニケーションを取ってほしい

生まれつきの聴覚障がいであった灘光選手ですが、家族のサポートなどもあり、健常者と変わらないように話すことができます。そのため手話のサポートはありましたが、灘光選手の講話(声によるお話)を基本に講演は行われました。

「聴覚障がい者は多様であるため、その人に合ったコミュニケーションを取ってほしい」と灘光選手。音量が小さく聞こえるだけでなく、歪んで聞こえるなどの具体例を示すと共に、「私も補聴器をつけたからといって、日常会話が完全にできるわけではありません」と言います。

では具体的に、どのようなコミュニケーションを取ればよいのか。また、聴覚障がい者のサポートにつながるのか。灘光選手は卓球仲間に行ったアンケートも踏まえ紹介しました。

まず大事なのは、聴覚障がい者は目からの情報に頼っていることを理解することです。話すときは口のかたちが分かるようにゆっくりと、身振り手振りといったジェスチャーや筆談、スマホの活用も有効だと言います。

ただ、灘光選手にとってのベストは手話とのことで、「覚えてくれると嬉しいです」と灘光選手。「聴覚障がい者は理解した際に大きく頷くことを意識しているため、確認しながらコミュニケーションするといいでしょう」と続けました。

デフ卓球の選手は健常者の大会にも出ています。ただ会場のアナウンスが聞こえずに試合に呼ばれても気づかないため、選手への確認事項や共有がある場合は直接伝える、ホワイトボードなどを用意する、との配慮が求められます。実際、灘光選手もアナウンスに気づかず、棄権になったことがあると話しました。

審判からの指示や注意が分からないこともあるそうで、「卓球に限らず聴覚障がい者への理解が乏しく、両者のコミュニケーションがスムーズではないことがあります。このように困っている人がまわりにいることを知ってもらえたら嬉しいです」と話し、講演を終えました。

質疑応答では10人ほどから「海外の大会ではどのようにコミュニケーションしているのですか?」「ITの活用は?」など具体的な質問が多く挙がり、灘光選手も「いい質問ですね」と、充実した時間となりました。



聴覚障がいやデフスポーツについて講演する灘光選手




耳栓をしてデフ卓球を体験、「スポンジを打っているよう」など盛り上がる

続いては参加者が耳栓をし、音が聞こえづらい状態で卓球をする体験会が行われました。

「音の聞こえ方が違う」「柔らかい音がする」「スポンジを打っているよう」「ボールが伸びてくるように感じる」「だんだん慣れてくる」「慣れてきてもやりづらい」といった声が聞かれ、特に「サーブの回転が分からない。耳に頼っていたんだ」と答える人が多くいました。

ふだんから卓球をしている参加者が多かったですが、「手話を習っている」「デフリンピックに興味があった」「子どもが聴覚障がいだから関心があった」など、こちらも多様な声が聞かれました。

デフ卓球の体験後は、多様な参加者の多くが灘光選手との打ち合いなども含め体を動かし、「楽しかった」「また参加したい」との感想が聞かれました。



講演の終盤、参加者にメッセージを送る灘光選手
参加者と記念写真




デフリンピックを通して、聴覚障がい者への理解と認知度を高めたい

デモンストレーションを披露する灘光選手

イベント終了後は灘光選手、主催者からメッセージをいただきました。

デフリンピックはパラリンピックよりも歴史があるのに、知名度では劣っています。今回のようなイベントを通じ認知度を高め、聴覚障がい者への理解や支援が広まることを目指しています。個人としても、来年東京で開催されるデフリンピックに参加し活躍できるよう、がんばりたいと思います。
※2024年12月15日 第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025日本代表選手に選出

満足度の高いイベントをこれからも開催していきたい

東京パラくるの事務局である東京都障害者スポーツ協会には、2年前に視覚障がい者の支援講習会を開いた際に協力していただいたことや、参加者の多くが笑顔になれるイベントの実施協力していることなどを理由に、今回もサポートしていただきました。

実際、多くの参加者が灘光選手と一緒に卓球を楽しみながら、聴覚障がい者やデフリンピック、デフ卓球についての認知が広がったと手応えを感じています。

東京パラくるを活用すると、今回のようにデフスポーツのトップアスリートとスムーズにつながることができるので、今後も定期的にテーマを変えて講習会を開催していこうと思います。

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