- 実施事例
- パラパワーリフティングの樋口健太郎選手・義肢装具士の竹下直樹氏による講演会および体験会
講演会/体験会事例 パラパワーリフティングの樋口健太郎選手・義肢装具士の竹下直樹氏による講演会および体験会
- 主催者
- 葛飾区立小松南小学校
- 講師
- 樋口健太郎選手(パラパワーリフティング)・竹下直樹氏(義肢装具士/鉄道弘済会)
- 開催日
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- 2024.01.18(木)
- 場所
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- 葛飾区立小松南小学校
- 対象
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- 葛飾区立小松南小学校の全校児童(1コマ目/全学年、2コマ目/高学年)
- 参加人数
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- 480名
パラアスリートは小学校の理科講師
1月18日(木)に葛飾区立小松南小学校において、パラパワーリフティングの樋口健太郎選手、義肢装具士の竹下直樹さんによる講演会と体験会が行われました。東京都八王子市出身の樋口選手は2017年にオートバイの事故で右脚を大腿部から切断。入院中パラパワーリフティングの競技を知って、パラリンピックに挑戦することを決意しました。事故から3か月後の全日本選手権72kg級に初出場して初優勝を飾りました。東京パラリンピックの代表は惜しくも逃しましたが、パリパラリンピック出場をめざしてトレーニングを続けています。竹下さんは、公益財団法人鉄道弘済会の義肢装具サポートセンターに所属する義肢装具士として、樋口選手をはじめとするパラアスリートや、多くの一般の方の義肢装具を製作しています。
港区の小学校で理科講師も務めているという樋口選手は、やさしい笑顔と言葉で全校児童に語りかけます。樋口選手の「家族」である4匹の猫の話、そのうち1匹の保護猫が下肢に障害があることから講演はスタートしました。自分も下肢に障害があって義足であることを話し、義足を交換して陸上用の義足でのランニングも見せてくれました。「義足1本の値段は?」、「日本に義足の人はどのくらいいるか?」などクイズも交えながらみんなを引き込んでいきます。樋口選手は自分のこれまでの経験やパラパワーリフティングの取り組みなどの話を通して、「将来の夢を持つことの大切さ」、「自分の幸せ、仲間の幸せ、社会の幸せを考える大切さ」など、大切なことをたくさん教えてくれました。
全学年の代表が義足体験!
体験会後には講師との質問タイムとなり、こちらも次から次へと手が挙がる大盛況な時間となりました。
後半は、義肢装具士の竹下さんの講演です。
公益財団法人鉄道弘済会の義肢装具サポートセンターでは義肢を作る装具士だけでなく、医者や看護師、理学療法士、ソーシャルワーカーなどたくさんの人が患者さんをサポートしています。まずは義肢装具サポートセンターの仕事を紹介。続いて装具と義肢の違い、さまざまな義足、義足を製作する過程などわかりやすく解説をしてくれました。これまで身近に感じたことのない義肢装具について知ることは、児童たちにとって驚きの連続でした。
体験会では、各学年の代表がひとりずつ義足を体験しました。樋口選手と竹下さんが体験用義足を装着から、立ち上がって歩くまで安全にサポートしてくれました。「竹馬みたいで怖い」、「バランスを取るのが難しい」などと、恐々ながら初めての義足体験。それでも高学年では、すぐにバランスを取って軽く駆け足までチャレンジする児童も現れて、体育館には大きな歓声が響きました。
最後は樋口選手と竹下さんが、教室へ戻る児童たちをお見送り。笑顔でハイタッチを交わしてこの日の講演会と体験会は終了しました。
学びの多い講演会と体験会で大変貴重な経験になりました
本校は、全校で障害理解を深める学習に取り組んでいます。障がいがある方と出会い、話を聞くことによって、人間の生き方について学び、そこから自己の生き方にもつなげて考えてほしいと願い、依頼しました。実際の講演では、話の内容が大変分かりやすいのはもちろん、児童の意欲が続くような工夫がちりばめられていて、児童も教職員も講演に聞き入っていました。特に低学年も興味関心をもって、話を聞いていたことが印象的でした。義肢装具士の方からもお話を伺うことができ、樋口選手の支えになっていることを感じました。義足体験もさせていただき、大変貴重な経験となりました。児童の感想からは、「義足をつけていろいろなことにチャレンジする樋口選手は生き生きとしていてかっこよかった」「僕も何事にも諦めずに頑張ります」「義肢装具士のような人のためになる仕事がしたいと思った」など、それぞれが樋口選手と竹下さんの生き方からいろいろなことを感じ、さらには自己の生き方を考えていることに、大変嬉しく思いました。
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身近なところにも義足の人がいることから知ってほしい!
夢を持つことや、自分、仲間、社会の幸せについてなど話しましたが、まずは最初のきっかけとして、みんなの周りにも義足を付けて生活している人がいるということを知ってもらえればいいなと考えて、子どもたちには話をしています。今回のような活動をもっと広げていきたい。今回は鉄道弘済会の竹下さんに一緒にやっていただきましたが、もっといろいろなところと協力・連携して、子どもたちに障害やパラスポーツに興味を持ってもらえるようなことができたらいいなと思います。