講演会/体験会事例 ブラインドサッカー・上林氏の講演会および体験会

主催者
法政大学小金井KYOPRO
講師
上林知民氏(ブラインドサッカー)
講義中に上林氏は実際の試合球を手に持って音を鳴らした
開催日
  • 2023.11.20(月)
場所
  • 法政大学小金井キャンパス
対象
  • 法政大学学生
参加人数
  • 12 名

映像を通して知ったブラインドサッカーの激しさ

 2016年からブラインドサッカー日本代表のコーチとして活躍されている上林知民氏。来夏に行われるパリ2024パラリンピック競技大会へ向け、チーム強化の一端を担いつつ、ブラインドサッカーのスポーツの価値を広めるため、講演活動も行なっている上林氏が今回の講師。
 この講演会を企画したのは、授業だけではカバーすることのできない学生の学問的な好奇心を満たすための課外教養プログラムを学生と教職員が一緒になって企画・運営している「法政大学課外教養プログラムプロジェクト(小金井KYOPRO)」。会には法政大学小金井キャンパスに通う1~4年生12名が集まり、講義と体験会が行われました。教室に集まったほとんどの学生はブラインドサッカーを実際に見たことがなく、どういうスポーツなのか知らない状態からスタート。上林氏が作り出す和やかな雰囲気の中、ブラインドサッカーとはどういうスポーツなのかを学生に講義。そして、実際の試合映像を見ながら競技を解説。学生たちは選手同士の激しいコンタクトに驚きながらも、ゴールシーンには拍手を送り、興味津々な様子がうかがえました。その後「実際に見える人と見えない人の違いは何か?」という上林氏の問いに対し、学生たちは「見えないから自分の位置が分からなくなるのではないか?」「味方の位置も分からない気がする?」「パスやドリブルにも違いがあるのではないか?」と各々様々な疑問を持ったまま講義は終了。そのまま体育館へ移動し、実際に体験する時間となりました。



視覚情報を伝えることに四苦八苦。伝える側も伝えなければいけない動作を実際に行いながら伝えた。




体験では多くの学生が視覚情報を伝えることの難しさを実感

  体験会では二人一組になり、一人がアイマスクを着用して体育館内を歩き回ったり、ジョギングをしたり。恐る恐る足を踏み出す人もいれば、大胆に走る人など人それぞれ。次に、アイマスクを着用している人に、もう一人が上林氏の動作を見て同じ動作ができるように指示を出します。簡単な動作であれば伝える側も伝えられる側も難なくできていましたが、動作が2つ3つと増えていくと難易度は急上昇。見えている人は動作の言語化に、アイマスクを着用している人は言語の動作化に四苦八苦。どちらも頭をフル回転させながら試みていました。その後は、ボールを使用して足でコントロールをしたり、パスを受けたり、パスを出したりなど様々なものに挑戦。パスは2人の距離を3mくらい離した状態から始まり、最終的には10mぐらいまで距離を伸ばして積極的に挑戦する学生も多くいました。体験した学生は、手を叩いたり声を出したりして合図を送ることの重要性や、「あと3歩右」などの具体的な指示が分かりやすかったなど、映像を通してだけでは得ることができない、視覚情報を伝えることの難しさを経験できた体験会となりました。



アイマスクをした学生が人と人の間をジグザクに歩く




上林氏とのQ&Aを紹介!

Q 初心者が試合に出場できるようになるまでは、どれくらいの練習量が必要ですか。
A 極論としてはドリブルでボールを運べるようになれば試合はできると思います。実際に時間を示すことは難しいですが、この講義を10回くらいやればできるのかなと思います。ただ、今日の皆さんはとても積極的な人が多かったので、3回くらいでも行けそうな気がします!

Q 試合時に観客が騒ぐとピッチの選手たちは聴こえなくなるのではと思うのですが、試合中はどうしていますか?
A インプレー中は静かにしなくてはいけません。プレーが切れた時や得点が入った時は盛り上がってOKです。実況や解説は観客が聴こえるように日本ではラジオなどを使用して情報を届けるなど、ピッチに音が漏れないような工夫をしながら観戦することもできます。

Q試合とか練習は基本的に屋外でやるものですか?
屋外はもちろんですが、体育館だったり、屋根が付いている屋外だったり、場所は選ばずに行います。屋外の場合では道路や空港などが近かったりすると、救急車や航空機が通った時は、レフリーが試合を止めて、音が止むのを待つこともあります。


相手の立場に立って考えてみましょう

学生たちの質問にも笑顔で応える上林氏

学生たちが積極的に取り組んでくれたのでとても楽しい時間になりました。見える人と見えない人という状況は違いますが、相手に伝わるように伝えることは同じです。今回一緒に何かを行う中で、どのように伝えるのか、または、どのように伝わるかを体験してもらうことができました。今回の経験を通して相手の側に立って物事を考えることなど、今後の生活に活かしてもらえたら嬉しいです。

分かりやすい解説で、楽しみながら学べました!

企画を通じて本学生には、障がい者スポーツに対しての関心と課題や障がい者の方々への理解をより高めてもらい、毎日を前向きに過ごすための活力を養ってほしいという名目のもと,ブラインドサッカーの企画を開催するために,依頼いたしました。実際に,男子日本代表のコーチにご指導いただけたため,理解しやすく楽しむことができたと思います。

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